1.清酒で採用された標準味用語
・採用できた清酒の標準味用語は58種もあった。5食品の中でも際立って多い。食品全体の中でもいちばん多いであろう。きき酒についての長い歴史と、酒類総合研究所や国税庁鑑定官質に多数の専門家がいることに影響されたと考えられる。
・基本味名が全て採用されている。5食品の中では、唯一の例である。
・うま味と旨味の両方が採用されていた。緑茶も同じである。
・特有味名と特有味語がそれぞれ、13種と29種も採用された。特に、特有味用語の多いことが指摘できる。全体のちょうど50%を占める。
2.清酒で収集した味用語
・収集した資料は、異なり著者で65点(のべ85点)であった。
・採集できた味用語は、異なりで314種(のべ1,205種)であった。
・代表的資料に掲載されている味用語は16種あった。このうち標準味用語として採用されたのが14種もあったので、採用率が非常に高いことになる。かつては多かった評価用語を、現在の審査会では絞っているためであろう。
3.清酒の官能評価用語と標準味用語
清酒では、各県でも審査会を実施しているが、その全国大会的な役割を、酒類総合研究所が実施する新酒鑑評会(確認)が担っている。新酒鑑評会は、長い歴史を踏まえた完成されたきき酒用語を備えている。現在では簡素化されて、味は五基本味だけとなっている(確認)。
とはいえ、これらは現在の愛好家の評価用語である。標準味用語に見慣れない用語が含まれていれば、それが新しい愛好家が好む味の可能性がある。
4.味の一覧表からみた清酒の標準味用語
味の一覧表に掲載されるのは、リストのうち基本味名、規範味名、慣用味名である。清酒の標準味用語のうち、味の一覧表に掲載されている味名は、16種である。この数でも5食品の中ではいちばん多いのであるが、清酒の場合は標準味用語全体の数が多いので、それとの比率をみると、27.5%にすぎない。
5.調査方法の補足
<調査方法の共通事項は、本欄「取り組みの概要」のページにあります。>
清酒の代表的資料は、全国新酒鑑評会の審査カードとした。
(2022年8月作成)