1.ビールで採用された標準味用語
・採用できたビールの標準味用語は26種であった。
・採用された基本味名は3種であった。ワインとともに、採用された基本味名の数がいちばん少ない食品である。
・規範味名は渋味だけの1種である。これは、5食品の中で唯一の例である。
・慣用味名が8種も採用された。清酒とともにいちばん多いが、標準味用語全体との比率でみると、ビールでは30%を超えて、清酒の倍以上である。
・特有味名の数(8種)が特有味語(6種)よりも多い。緑茶も同じであるが、特有味語がよく活用されるはずの食品である点で注目される。
2.ビールで採集した味用語
・収集できた資料は、異なり著者で 52点(のべ59点)であった。
・これらの資料から採集できた味用語は、異なりで264種(のべ654種)であった。
・代表的資料に掲載されている味用語は30種であった。このうち6種しか標準味用語として採用されなかった。代表的資料としたBCOJ官能評価法は、国際的に作成された資料の訳語であり、権威ある資料である。国際的な評価用語と日本の評価用語の落差を反映している。
3.ビールの官能評価用語と標準味用語
ビールは大手メーカーに担われているために、全国的な品評会よりも、自社内での官能評価が重視されている。この場合、自社内で作成された評価用語が活用されるが、そこに含まれていないビールの標準味用語があれば、なぜ必要がないのかを吟味することが望ましい。
一方、地ビールでは国レベルの審査会が重要性を持つ。地ビールは、特徴を競っているが、ビールの味の基本を押さえるためには、標準味用語の活用が重要になる。
4.味の一覧表からみた標準味用語
味の一覧表に掲載されるのは、リストのうち基本味名、規範味名、慣用味名である。ビールの標準味用語のうち、味の一覧表に掲載されている味名は12種であった。逆にいうと、特有味名と特有味語が合わせて14種であった。
5.調査方法の補足
<調査方法の共通事項は、本欄「取り組みの概要」のページにあります。>
ビールの代表的資料は、BCOJ官能評価法とした。
(2022年8月作成)