1.採用できた甘み系慣用味名
2.甘み系慣用味名の特徴
全部で11種採用できた。基本味系慣用味名は全部で16種なので、甘味系慣用味名は70%近くを占めていることになる。甘み系慣用味名以外では、酸味系慣用味名(3種)や苦み系慣用味名(2種)である。甘み系慣用味名が圧倒的に多いのは、甘みがいちばん関心を持たれている味のためであろう。
当初は下に甘味が付く用語として探索していたが、下に付く語は甘味より実際には甘みの方が多いことがわかった。スクロースなどの物質の味としては甘味、食品の味としては甘みと呼ぶ傾向がある。そこで、甘味系慣用味名ではなく甘み系慣用味名と呼ぶことにした。英語では前者はsweet
taste、後者はsweet flavorと呼ぶことになると考えている。
基本味系慣用味名のうち、甘み系慣用味名だけに必要であった小カテゴリーに、「名詞+の型」(自然の甘み)と「形容詞型」(優しい甘み)があった。「自然」も「優しい」も、人々に好まれるキーワードである。また、「食品名+の型」では野菜の甘みと豆の甘みが採用された。どちらも甘みを強く感じる食品でなく、噛むほどに甘みが感じられる食品であることが指摘できる。「形容動詞型」にあるほのかな甘みの「ほのかな」は酸味系慣用味名や苦み系慣用味名でも採用された。「ほのかな」味は、どんな味でも好まれている。
ここで言及しておくと、五基本味のうち、塩味系慣用味名とうま味系慣用味名は一つも採用されなかった。うま味系慣用味名が採用されないのは名称の問題であろうが、塩味系慣用味名が採用されなかったことには意外性がある。
参考までに、物質的根拠のある基本味修飾味名としては、爽快な甘味(代表的な呈味物質(以下同):エリスリトール)と清涼な甘味(キシリトール)が採用されている。
3.判定方法などにおける特記事項
下に付く語は甘みの方が多いので甘み系慣用味名としているが、圧倒的に多いわけではない。データベース毎の特徴もあり、新聞社系のサイトでは甘みの方が圧倒的に多く、国会図書館のWARPやGoogle
Scholarでは甘味の方が多い。
(2025年7月作成)