1.採用できた風味系慣用味名
2.風味系慣用味名の特徴
風味系慣用味名は35種採用できた。このうち、28種が「食品名連結型」に分類されている。豆の風味もこれに近いので加えると、全体の80%を超えることになる。実は(一般的な)慣用味名でも「食品名連結型」が50種採用されていて、最大の小カテゴリーであった。上に付く食品名を一瞥すると、カタカナ食品名の多いことに気付くけれども、必ず洋風食品名に偏っているわけではない。上に付く食品名にその特徴は明確でない。
「食品名連結型」に分類された28種のうち、(一般的な)慣用味名と食品名が重複(異名2種を含む)するのが21種もある。実に3/4に達し、同じ食品がたとえばカレー味ともカレー風味とも表現される。しかも、下に付く用語が風味の使用頻度の方が味よりも高い食品の例もある。なお、「食品名+の型」は、(一般的な)慣用味名に比べると風味系慣用味名では極端に少なかった。
次に多いのは、「形容動詞型」で、5種採用できた。上に付く形容動詞をみると、(一般的な)慣用味名と重複するのが「さわやかな」や「まろやかな」など4種あった。異なるのは「豊かな」だけである。この「豊かな」も味わい系慣用味名や慣用匂い名と重複する。そして、1種だけある「形容詞型」の「香ばしい」も、(一般的な)慣用味名と重複する。風味系慣用味名の形容語は全体に少ないが、その形容語も特有といえる例がない。
風味は味覚と嗅覚が統合された知覚であることから、風味系慣用味名が(一般的)慣用味名と慣用匂い名のどちらと用法が似ているかをみると、「食品名連結型」に属する例が多くて「食品名+の型」に属する例が少ないという点で風味系慣用味名の用法は(一般的)慣用味名と似ている。また、「形容詞型」に属する例が「形容動詞型」に属する例に比べて少ない点でも同様である。
味わい系慣用味名と比較すると、「食品名連結型」や「食品名+の型」は風味系慣用味名だけにあった。一方、「形容動詞型」や「形容詞型」はむしろ味わい系慣用味名の方が多い。そして、「形容動詞型」の上に付く語は上述のように重複が多く、味わい系と重複しないのは「独特の風味」だけである。また、さわやかな風味とさわやかな味わいを区別することはは容易ではないであろう。なお、「形容詞型」の「香ばしい風味」は味わい系とは重複しない。以上の比較からみると、風味と味わいは似ていると指摘されることはほとんどないが、その意味は案外共通する部分が大きい。
なお、風味が下に付く慣用味名は多いけれども、香味やフレーバーなどが下に付く用語では一つも採用できないことを付記しておく。
3.判定方法などにおける特記事項
特に記載が必要な事項はない。(一般的な)慣用味名と比べると偽ヒットが少ないので検索が容易である。
(2025年9月作成)