1.慣用味名といえる要件
これまでに取り組んできた慣用味名に適用した要件は、
①味が下に付く用語である。
②官能特性の味を意味している。
③味の特徴を表現している。
④定型的な表現といえる。
であった。
2.ここで適用した慣用味名といえる要件
ここで適用した慣用味名の要件のうち上と異なるのは要件①で、「味が下に付く用語」の要件を緩和して「味を意味する語が下に付く用語」とした。ここに、「味を意味する語」とは具体的には、甘み(味)、酸味、苦み(味)、風味および味わいである。特殊な例として、要件①を「味を意味する語である」としたのが単語表現系慣用味名である。
以上の措置を踏まえ、上の要因①は現在では「①原則として、味が下に付く用語である」と修正している。
3.慣用味名の探索
慣用味名の探索は、要件①~③の条件を満たす候補用語の収集と収集した候補用語が要件④を満たすかを判定する作業から成り立っている。
候補用語の収集は、論文からの収集と日常見聞きする用語を個別に収集することが基本となるが、この方法では自ずと限界がある。体系的に収集することも必要である。体系的な収集方法としては、①中納言やNLBなど国語研究所が提供しているデータベースの活用を中心に、②食品添加物公定書解説などの公的資料、③WARPなど国会図書館が提供しているデータベースの活用などを併用した。
次に、収集した候補用語が要件④の「定型的な表現といえる」かを判定する。この要件で広く使用されている用語であることを担保している。その指標としては聞蔵ビジュアルⅡ(現:朝日新聞クロスサーチ・記事)とレシピブログのヒット件数を用いた。判定基準値は100件以上であるが、レモン風味のような複合語の例では20件以上とした。
なお、ヒット件数には当然偽ヒットも含まれるので、その確認が必要である。そのためには、内容確認が容易な聞蔵ビジュアルⅡを用いた。その際、要件②と③を満たすかをしばしば確認した。
(2025年7月作成)