トップページに戻る


炭酸味

炭酸味とは「重炭酸イオンが呈する痛覚性味」である。炭酸味は、弱い痛みであり、ぴりっとした感じがあるという。また、シュワシュワ感と呼ばれることも多い。

 炭酸味は痛覚性味であり、味覚性味ではない。痛覚性味を味と呼べるかの意見もあるが、これは味の定義の問題である。辛味も同じであり、この議論は辛味の項で尽くしている。

炭酸味と聞いて思い浮かべるのは、むしろ泡による感触であろう。しかしながら、泡の感触が味と認識されるかは、疑わしい。そうであれば、ビールやソーダ水でも感じられるので、炭酸味はもっと広く知られているはずである。ところが、実際にはあまり使用されない。物理感覚である泡の感触だけでは味とみなされないであろう。

 重炭酸イオンによる弱い痛みを感じる人が、炭酸味を感じている1)。ただし、重炭酸イオンによる化学刺激だけで炭酸味を感じているかは、まだわかっていない。泡の感触も含まれている可能性がある。

 重炭酸イオンの受容器は、自由神経終末である。その受容体は、温度受容体のTRPV1とされている。TRPV1は、高い温度(43℃以上)を受容し、唐辛子のカプサイシンの刺激も受容する。つまり、この受容体は、カプサイシンでは辛味を発揮し、重炭酸イオンでは炭酸味を発揮している。この仕組みから判断すると、炭酸味には熱さを伴っているはずである。

 ビールやソーダに感じられる炭酸味は快感を伴う。水に炭酸ガスを溶かせた炭酸水も社会に存在することをから、炭酸味は単独でも快感を伴う可能性がある。辛味の場合は、他の味と共存した条件下では好まれていると考察したので、もし炭酸味が単独で好まれるのであれば、それはそれで興味深い。

 炭酸味が味であることは疑いない。それをもっとわかり易く説明できるようになれば、その知名度も上がり、ビールや清涼飲料水の楽しみが一つ増えると期待している。

参考資料
1)駒井三千夫・井上貴詞・長田和実:口腔・鼻腔の三叉神経を介した刺激性物質の受容機構, におい・かおり環境学会誌, 37(6), 408-416,2006.

(2019年12月作成)