3つのDB(ヨミダス、レシピブログおよびクックパッド)での検索で、ヒット件数が3つのDB全てで10位以内に登場した食品は、肉、野菜、昆布、魚、トマトであった。また、出汁と豚肉は1つのDBには登場していないが、どちらも当該DBで11位と13位に位置するので、これも準ずるとみなした。その結果、これらの7食品は、多くの人々にうま味と表現されているので、「うま味」を呈している蓋然性が高いと判断した。
7食品をみると、食品群としてリストアップしたのが肉、野菜、魚で、食材(食品)としてリストアップしたのが昆布、トマト、豚肉であり、料理としてリストアップしたのは出汁だけであった。食品群や食材が多く、料理や(喫食形態の)食品の少ないことが指摘できる。
上の分析方法では、検索対象としなかった食品は見逃すことになる。そこで、中納言を用いて“のうま味”での検索を行った。中納言は書き言葉の全体像が把握できるように広くサンプル資料を収集している。検索用語に食品名を入れなくても、検索結果から該当食品を特定できる長所がある。この分析結果をみると、上の検索で上位を占めた肉、野菜、出汁、魚が上位を占めていた。肉と野菜は、中納言でもヒット件数が多い食品であった。肉と野菜以外では、米と小麦が上位を占めていた。このうち米は、ヨミダスでも5位に登場していたことから、米は「うま味」を呈している蓋然性が高いと判断した。
官能評価で用語としてうま味、旨味が使用されている食品は、12種あった。このうち、公共機関あるいは業界団体での官能評価に使用されている例が多いのは、清酒、焼酎、煎茶、味噌の4食品であった。このうち清酒では、全国新酒鑑評会の審査でもうま味が活用されているだけでなく、歴史的にも旨味の長い使用実績がある。また、清酒のフレーバーホイールにもうま味が登場する。これらの事実から、清酒は「うま味」を呈している蓋然性が高いと判断した。
以上をまとめると、「うま味」が感じられていると判断した食品は、肉、野菜、昆布、魚、トマト、出汁、豚肉、米、清酒の9品目となった。
(2020年5月作成)