18全食品全体でみた、食品中の基本味の好ましさを嗜好指数で比較すると、表のいちばん上の行にあるように、うま味(93.3)、甘味(87.3)、塩味(66.2)、酸味(36.3)、苦味(0.5)の順であった。感知率
の順と比較すると、甘味とうま味の順が入れ替わっただけで、他の順序は同じであった。この順序の差は顕著で、この順序がウイルコクスンの順位和検定によると有意であることを確認した。
このように、本アンケート調査の目的であった、食品中の5基本味の好ましさについて、指標の数値で比較することにより、うま味がいちばん好まれるという結論を得ることができた。本調査結果は、うま味と甘味の好ましさを比較した最初の例である。
塩味の方が酸味より好まれることは、常識的な結果である。しかしながら、一般の人々には塩味より酸味の方が好まれていると考えている人も多い。また、減塩の重要性が叫ばれていることから、この差は将来的に小さくなると予想される。
酸味と苦味も嗜好指数が正の値となっていることを指摘しておく。これらの味は一般に忌避される味とされている。
注:味覚生理学的には、うま味とはグルタミン酸ナトリウムなどが呈する味である。本調査でのうま味は食品が呈する味であることに注意いただく。なお、現在この課題に取り組んでおり、本サイトの「うま味の吟味」でも公表します。