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基本味の感知率


1.全食品での各基本味間の比較
 全食品について感知されている味を感知率で比較すると、のいちばん上の行にあるように、高い順に甘味、うま味、塩味、酸味、苦味であった。甘味は全体として61.2%も感知されているのに対し、苦味は感知率が高い食品が限られており、全体として13.9%しか感じられていなかった。各基本味間の差はいずれも顕著である。5基本味の感知率を合計すると171.5%で、つまり食品当たり平均で約1.7の基本味が感知されていることになる。

2.各基本味の感知され方の特徴
 甘味において感知率がいちばん高い食品は、カステラ(100%)であった。感知率が100%というのは、他の味も含めて唯一の例であった。感知率が90%以上の食品が7品目もあり、感知率の上位5位までは甘味が占めた。甘味 の場合は、いちばん感知率の低いビールでも16人(感知率14.2%)に感じられていた。感知されている味の基準を11人以上としたので、甘味は18食品全部が感知されていることになった。

 うま味も全食品が感知されていることになったが、感知率が高い食品は限られており、90%以上はステーキだけであった。うま味食品として採用したコンソメスープも83.7%にすぎなかった。一方、いちばん低いりんごでも14人(7.8%)に感じられていた。

 塩味では、感知されていないと判定された食品が9品目あった。全食品数のちょうど半数であった。塩味物質が閾値以上に存在しても感知されない食品があると推察される。塩味は、感知率が98.8%のポテトチップスを筆頭に、感知率が50%以上のものが6品目あった。その反面、感知率の低い食品も目立った。

  酸味では、感知されていないと判定された食品が12食品と最も多かった。酸味には、みかん(95.6%)、とまと(94.6%)など感知率が高い食品もあるが、感知率50%以上のもの は4品目にすぎなかった。そして、それ以外の食品の感知率は軒並み低かった。

  苦味では、感知されていないと判定された食品が11品目であった。苦味の方が酸味より感知される食品は多かった。苦味の感知率は、苦味食品として採用したお茶とビール以外全てが50%以下であった。

(2016年1月作成)