おいしさの探究 に戻る

調査の方法と解析


1.調査の準備
 本アンケート調査の目的からして望ましいのは、なるべく多くの食品を対象にし、調査対象者も十分な人数を確保しかつ性別年代別にバランスの取れたものにすることである。また可能ならば、用意した料理を実際に食べて評価してもらうことである。その一方で、実行の可能なのもにする必要があった。

  そこで、まず対象食品は18食品に絞ることにした。対象食品の選定に当たっては、はじめに5基本味を代表できるかつ一般的な食品を2つずつ選び、そのうえで、全体として食品群に偏りがないようにかつ代表的な食品を漏らさないようにという基準で選定した8食品を追加した。次に予備調査を実施し 、その結果を踏まえ回答が難しいとされたまぐろを焼き鮭に入れ替えた。

  調査対象者は女子学生とした。ただし、地域が異なる4大学(東京、名古屋、京都、福岡)の大学教授に依頼して、対象者群間で大きな変動がないかを確かめることができるようにした。いずれも食品栄養課程の学生である。

 また、料理を実際に食べて評価してもらうのが望ましいが、その料理を準備することを考えると現実的でないので、調査用紙を配布して回答者が食べた時の記憶を思い出して記入してもらった。この方法を味記憶思い出し法と呼んだ。

2.調査の実施
@調査票 使用したアンケート調査票を別紙に示した。本質問の3つの問のうち、最も重視したのは問2の「その味が感じられることは好ましいですか」である。問1は問2を質問するのが無意味な味を除外するための予備的質問で、問3は問2で明確な結果が出ない場合に備えた補足的質問であった。

A調査時期 調査の実施時期は、2014年10月〜11月である。

3.データの整理
1)回答用紙のフィルタリング 回収できた用紙は259人分であったが、真面目に回答していない(例、記入食品数が3分の2以下、同じ数字ばかり、数字の並びが機械的)をフィルタリングの基準として該当用紙は除外したので、回答者数は181人となった。ただし、フィルタリングは用紙単位とし、採用した用紙でも一部には不自然と思われる記入もあったがそのまま転記した。

2)指標の設定 結果をまとめるためには、直接参照できるようなアンケート調査が見つからなかったので、指標を設定する必要があった。問ごとに設定した指標をに示した。なお、感知率の計算に 使用する記入者数は食品毎に異なり、嗜好指数と強化影響指数の計算に使用する記入者数は食品の味毎に異なる。参考までに、食品の記入者数のいちばん多かったのはご飯で181人全員が記入したので、回答者数と記入者数が一致した。逆にいちばん少なかったのはビールで、記入者数は113人であった。

3)集計 集計にはエクセルによる一般的な手法を用いた。食品毎に味が感知されていないとみなす基準を感知者が10人以下とし、該当食品は嗜好指数と強化影響指数の計算の対象外とした。ただし、全食品の計算においては18食品全てのデータを用いた。

4)統計処理 必要な統計計算にはエクセル統計を用いた。 

本アンケート調査は、農研機構食品総合研究所の日下部裕子ユニット長・河合崇行主任研究員と共同で実施したものである。調査の実施にあたっては、中村学園大学大田英明教授、同志社女子大学真部真里子教授、椙山女学園大学石原健吾教授、東京農業大学阿久澤さゆり教授の協力を得た。また、実際に回答いただいた学生の皆様に厚くお礼申しあげます。

(2016年1月作成)