おいし味を定義するのは時期尚早ではあるが、理解してもらえるように敢えて定義すると、「ご飯などの澱粉質食品に共通して知覚される好ましい味である」となる。ご飯のおいし味について
は、レトロネイザルの香りとともに穏やかな甘味そして温かみのある感触が関与すると推定している。
おいし味の存在に気付いたのは、48.6%もの調査対象者がご飯にうま味を感じると回答したのを常識的な結果でないと感じたことがきっかけになった。少なくとも「うま味」といえないことから、当初は「うまみ」と言い換えた。2回のアンケート調査結果から、このうまみはレトロネイザル香り関与味であるとの結論を得た。ところがうまみと呼んでいると、うま味と表記は異なっても、発音
すると同じである。したがって、議論する時などは何かと不便であった。そこで区別し易いように、おいし味と呼ぶことにした。なお、「おいし味」は、うま味がうまい味を縮めたようにみえることをヒントにした造語である。
おいし味は、元々うま味として感知された。この事実は、おいし味とうま味は味質が似ていることを示している。したがって、おいし味は第2のうま味と呼ぶことができる。