おいしさについては、専門家の説明も混乱している。おいしさを適確に理解することは、食事を楽しみたい人にとっても、食べ物を提供する人にとっても基礎知識として役立つはずである。
筆者は日本官能評価学会誌Vo.2, No.2においしさの構成要素表を寄稿したことがある。おいしさの構成要素の一覧表の作成は、おいしさに係わる要素を明らかにすることに他ならない。おいしさに係わる要素が明らかになれば、おいしさの全体像が把握できる期待がある。専門家の説明も混乱しているおいしさを正しく理解するための、有力なアプローチと考えている。そこで、前回の提案以降に考察してきた内容を組み込むとともに、改めてこの分野でなされてきた諸賢の提案も反映させて更新し、おいしさ理解の深化を図った。
具体的には、まず前回に提案したおいしさの構成要素一覧表を出発点とする。そして、その後の考察とともにこれまでに提案された資料の内容を反映させる。更新したおいしさの一覧表で、おいしさの全貌を把握することは無理としても、おいしさの全体像は説明できることを目指した。