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慣用味名とは


 本欄でキーワードになる慣用味名は、知られた用語ではないので用語説明をしておく。

 慣用味名とは、広く使用されていることを根拠にした味の名称である。つまり、言語的根拠のある味名である。慣用味名は新しく提案した用語ではなく、色の分野で活用されている慣用色名に倣って導入した用語である。慣用味名には、イチゴ味、優しい味、あっさり味など多数ある。また、味は食品のおいしさにおいて必須で中核的役割を果たすので、味の全体像を明らかにすることは重要である。

 なお、慣用味名では慣用色名の概念をそのまま準用したわけではない。というのは、慣用色名では、色は原色だけという主張はなく、また、標準見本(色票)を根拠にできるので、慣用色名に制約がない。ところが、慣用味名では、味は基本味だけという通説があり、また標準見本の提示も困難な例が多い。このために、別の根拠が必要であった。そこで、用語が広く使用されている言葉であることを根拠にした。これを言語的根拠と呼んでいる。

 慣用味名とみなすために、下記の4要件を設定している。
    1.味が下に付く用語である。
    2.官能特性の味を意味している。
    3.味の特徴を表現している。
    4.定型的な表現といえる。
「定型的な表現といえる」で、広く使用されている言葉であることを担保している。 

(2022年8月作成)