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韓国語に存在する慣用味名



맛(mas)タイプ



미(mi)タイプ


1.表の見方
 表表は、맛タイプと미タイプの二つある。맛タイプは맛が下に付く慣用味名で、미タイプは미が下に付く慣用味名である。맛タイプの表では、カテゴリー名を「食品名型」と「その他」に分けて、各欄に慣用味名を並べた。미タイプの表のカテゴリー名は「その他」だけとなっている。
なお、韓国語の맛と미は、日本語での味(あじ)と味(み)の違いに相当する。意味は同じなので、分ける必要はないかもしれない。とはいえ、字が異なると紛らわしいので、別々の表とした。

2.韓国語にある慣用味名の概要

  • 1)韓国語で採用できた慣用味名は31種あり、外国語としてはいちばん多かった。韓国語にも慣用味名が存在することは明らかである。
    2)韓国語で採用できた慣用味名が多いのは、候補用語として使用した日本語の慣用味名の訳語から採用できた数が多かったことが考えられる。あるいは、韓国語には日本語に迫るほどの慣用味名が存在することの表れかもしれない。
    3)韓国語の맛は韓国固有語で、미は中国からの伝来語である。そして、미タイプは熟語のみである。日本語の慣用味名では「伝来熟語型」が22種も採用できた。一方、韓国語ではわずか3種である。
    4)밥맛(ご飯の味)と물맛(水の味)は複合語となっている。分かち書きでも採用できるのであるが、複合語の方がヒット件数は多いので、複合語を採用した。
    5)추억의 맛(思い出の味)の「의」や담백한 맛(淡泊な味)の「한」は、省略した用語の方がヒット件数は一般に多い。そのためであろうが、「食品名型」で「의」が付いた用語は採用されていない。

3.日本語慣用味名との比較
日本語の慣用味名と同じまたはほぼ同じ韓国語の慣用味名は、맛タイプの「食品名型」で12種、「その他」は14種全部であった。両国語間の慣用味名の一致率は非常に高い。日本と韓国の言語特性や食習慣が近いためと推察できる。
この事実は、日本語の慣用味名の訳語として収集した候補用語の中から、慣用味名として採用された例が21種もあり、外国語の中で韓国語が断然多かったことにも裏付けられた。
미タイプの3つの慣用味名は、日本語慣用味名の「伝来熟語型」にも完全に一致するものが含まれている。
어머니의 맛(eomeoniui mas)は、日本語でおふくろの味である。オムニは日本でも知られた言葉であり、韓国ではオムニへの愛情は特に強いと聞いていた。ところが、この言葉は使用頻度が低いので、慣用味名には採用できなかった。

4.調査方法の補足

  • 1)候補用語探索段階
    収集できた候補用語は、822種であった。なお、他の言語に比べると、Google翻訳など翻訳サイトでの韓国語の正答率は低いようである。この問題が解決できれば、もう少し増える可能性がある。
    2)「定型的な表現といえる」の判定段階
    「定型的な表現といえる」の指標としては、新聞系サイトとしては中央日報のヒット件数、レシピ系サイトとしては万個レシピのヒット件数とした。中央日報は、日本でも公開されているBigkindsサイトに含まれているものを使用した。
    判定基準値は、ヒット件数がどちらも50以上とした。
    3)採否の判定段階
    「食品名型」に該当する候補用語は、レシピサイトのヒット件数は十分であるが、新聞系サイトのヒット件数が低いために採用できなかった例が目立っていた。

(2022年8月作成)