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日本語に存在する慣用味名



 
日本語慣用味名へのリン
 
1.表の見方
 日本語の慣用味名では、カテゴリーが表側になっている。各行に、該当する慣用味名を並べた。外国語の表とはスタイルが異なっている理由は、慣用味名の数が特に多く、それに伴なってカテゴリー数も13と多いためである

2.日本語にある慣用味名の概要
  • 1)日本語で採用できた慣用味名は157種あった。慣用味名を網羅できたのは日本語だけとはいえ、外国の言語に比べて格段に多かった。
    2)「食品名連結型」には慣用味名が50種あって、13カテゴリーの中でも特に多い。なお、「食品名連結型」と「食品名+の型」の違いは、たとえばカレー味とカレーの味を例にとると、カレーの味はカレー自体の味であるが、イチゴ味は主としてカレーで味付けされた(コーンの)味の意味で使用される。
    3)「伝来熟語型」は中国から伝来した熟語である。ここには慣用味名が22種掲載されている。にもかかわらず、中国語の慣用味名には「伝来熟語型」と同じものが3種しかなかった。言葉が辺縁の地に残っている構図がある。
    4)「オノマトペ型」の慣用味名が4種ある。このうちあっさり味ではあっさりした味とかあっさりとした味でも採用できる。その中でも、あっさり味が簡潔で使用頻度も高い。
    5)「伝来熟語型」と「和製熟語型」の慣用味名の味は「み」と読み、その他の慣用味名は全て「あじ」と読む。同じように伝来熟語を持つ韓国語では表を分けたが、日本語では分けなかった。どちらも字は同じなので、違和感がないためである。
3.調査方法の補足
  • 1)候補用語探索段階
    日本語の候補用語探索では、コーパス検索アプリケーション中納言が活用できた。外国語でコーパスデータベースを活用できたのは、英語だけである。
    2)「定型的な表現である」の判定段階
    「定型的な表現である」の指標としては、聞蔵ビジュアルUのヒット件数とレシピブログのヒット件数とした。判定基準値は、両方のヒット件数が100以上とした。ただし、複合語や熟語の場合は、適宜緩和した。
    3)採否の判定段階
    ここには採用した「単独語型」は例外的なカテゴリーで、味の表現だけに使用されるような単語である。外国語にも存在する可能性はあるが、判定が困難なので候補用語探索の対象から外した。特に欧米語では味名に味の語を付けない傾向にあるので、この種の慣用味名が多数存在する可能性がある。

(2022年8月作成)